『観経』に説かれる上品上生から下品下生までの九品の来迎の有様を描いたもの。日本では、当麻曼陀羅のような観経変相図の中に、九品往生のありさまを絵解きしたのが起源と考えられる。独立した作品として現存する日本最古の作品は、平等院鳳凰堂扉絵(国宝、平安時代)であり、他に奈良県瀧上寺りゅうじょうじの作品(国重要文化財、鎌倉時代)が知られる。これらはともに、四季の風情溢れる美しい山水を背景として描き、日本人本来の自然に根ざした死生観を色濃く伝えている。【図版】巻末付録
【参照項目】➡阿弥陀来迎図
【執筆者:若麻績敏隆】