教理の違いは認められても、僧団としては他に寄寓しているとして、独立しているとは認められない宗のこと。浄土宗に関して、虎関師錬が『元亨釈書』の中で、「三論・唯識・律・華厳・天台・密・禅、上の七は是れ方に宗と名づくるものなり。また浄土有り。成実有り。俱舎有り。斯の三を寓宗と為す」と、浄土宗を寓宗と位置づけている。また、「浄土一宗、或いは大、或いは小、修する者に依りて然り。祖無き宗の定系なるが故也」と、その教勢は認めつつも相承系譜は不明確とする。これは諸宗間の優劣が重要視された時代の過渡的視点と言える。
【参照項目】➡元亨釈書
【執筆者：東海林良昌】
