玉葉
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:22時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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ぎょくよう/玉葉
平安から鎌倉期に書かれた九条兼実の日記。平清盛・木曽義仲・源頼朝・源義経、慈円・法然など、この時代を代表する人物が次々と登場し、近畿一円を中心とした社会の状況を伝える。長寛二年(一一六四)から建仁三年(一二〇三)まで、前後四〇年の日記が現存し、同時代において質量共に比肩するものがない。これらの人物や出来事について、兼実は事実の記録のみにとどまらず、分析や批評を加えている。また、記述の特徴は、原文主義である。『玉葉』には、しばしば他の史料には見られない記事が見られ、兼実は朝廷などから受け取った書状を日記にそのまま貼り付けていたと思われる。通常他の日記では書状からの抜粋であるので、記者に不必要な箇所は記録されないが、『玉葉』にはその全文が保持されていることになる。もう一つは、取り上げられる記事が広範囲にわたることである。宮廷の政務や、儀式・法規・法制、その際の服装・作法・風習・故実は、貴族として最高位にあった兼実が最大の関心を寄せていたことはいうまでもないが、そのほかにも政治・軍事・信仰に大きな関心を寄せている。
【参考】多賀宗隼『玉葉索引』(吉川弘文館、一九七四)
【参照項目】➡九条兼実
【執筆者:東海林良昌】