二巻。南紀州の藤代山永正寺の加祐撰。良忠の『往生礼讃私記』の注釈書。筆者の加祐は本書の他に良忠の『観念法門私記』『法事讃私記』『般舟讃私記』にも注釈書を撰述している。本書の題名が『拾遺鈔』とあることは、加祐が聖冏の『往生礼讃私記見聞』の存在を強く意識したことに起因する。本書は江戸初期における良忠の諸注釈書研究の内容を知るうえで不可欠な一書である。版本に寛文四年(一六六四)版があり、これが浄全本の底本になっている。
【所収】浄全四
【参照項目】➡往生礼讃、往生礼讃私記一
【執筆者:柴田泰山】