軸に巻いた経巻のこと。黄紙朱軸ともいう。黄色の紙に写経し、赤色の軸を芯として巻いたことによる。写経の料紙には、麻紙まし・穀紙こくしを黄檗きはだに染めたものが用いられた。中国では四〇〇年代から写経の一行一七字が定まり、黄巻赤軸の写経の形式が定められた(『日本の美術』一五六写経・二二、至文堂、一九七九)。知恩院蔵の国宝『大楼炭経』(唐代の写経)は黄巻赤軸の巻子装。その一方、料紙を紺色に染め金字で書写した紺紙金字経等の装飾経が数多く作られた。
【資料】『維摩経略疏垂裕記』(正蔵三八・七一四上)、『伝通記』(浄全三・九三下)
【執筆者:西城宗隆】