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円融

提供: 新纂浄土宗大辞典

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えんゆう/円融

複数の事物や事象などが互いに妨げになることなく融和して一体となっていること。隔歴きゃくりゃくの対。「えんにゅう」とも読む。円は欠けることなく満ちていることで、融は隔てがないことをいう。このような円融の在り様は諸法の真実相を表す概念として用いられ、諸宗の教学上において重視されることもしばしばである。なかでも天台宗三諦円融は有名で、諸法実相を説き明かすのに用いられる。三諦とは空諦・仮諦・中諦のことで、これらはそれぞれ諸法の真理を明かすが、三諦が別々にあるのではなく、即空即仮即中と三者が融合して、ただ一つの真実相として顕現していることを説く。また華厳宗では、諸法を総・別・同・異・成・壊の六つの側面から捉え、これらが互いに円融無礙であるとする六相円融を説く。このうち総・同・成は平等の面を、別・異・壊は差別の面を示したもので、これらが円融の状態にあるということは、差別即平等平等即差別の重々無尽法界縁起のすがたをも表していることになるという。


【参照項目】➡三諦円融


【執筆者:横田善教】