涅槃の境地、あるいは浄土のこと。涅槃は不生不滅の境地であることから永生といい、また常・楽・我・浄の四徳をそなえていることから楽果という。善導の『観経疏』玄義分に「長劫の苦因を開示し、永生の楽果に悟入せしむ」(聖典二・一六二/浄全二・一下)とあり、釈尊が人々の苦の原因を明かし、涅槃の境地に入らしめようとしたことを示している。また良忠はこれを釈して「永生とは若は涅槃、若は浄土を名けて永生となす」(浄全二・一二二下)と述べ、永生を涅槃、あるいは浄土と理解している。
【執筆者:瀧沢行彦】