むろのつのゆうじょにしめされけるおことば/室の津の遊女に示されける御詞
法然が室の津、すなわち播磨国室の泊(兵庫県たつの市御津町室津)で、遊女に述べたとされる言葉。法然配流の年である建永二年(一二〇七)三月頃のものであろう。自身の罪業の深さを嘆く遊女に、法然はたとえ遊女という生業を捨てることができなくても、その身のままで念仏を称えることを勧め、それによって極楽往生ができる旨を伝えている。法然の言葉に遊女は喜びの涙を流したという。『四十八巻伝』三四によれば、後に遊女は往生を遂げたと記されている。
【所収】聖典六、昭法全
【参照項目】➡室の泊
【執筆者:石田一裕】