信者の名簿のこと。『融通念仏縁起』によれば、融通念仏宗の開祖である良忍は念仏勧進にこれを用い、諸天善神も名を連ねたと伝えられる。浄土真宗の仏光寺派では、了源が絵系図とともに名帳を用いて布教している。本願寺の覚如は『改邪抄』において、名帳を署名したそのときをもって往生浄土が治定すると説くものと解し、邪義として批判している。名帳には信仰的連帯感を強める側面があり、中世の念仏教団である程度の広がりを有した布教法であったと考えられる。
【執筆者:舩田淳一】