梵語の表記に用いる文字。古代インドで用いられたブラーフミー文字から発達した、悉曇しったんなどのインドの文字を広く指す。北セム系文字の最古形であるフェニキア文字がインドにもたらされ、表音文字であるブラーフミー文字が成立した。その北方系の文字から、六世紀に悉曇文字、一〇世紀頃にはデーヴァナーガリー文字が生じた。前者は日本に伝わり、塔婆・真言などを書き表すのに用いられる。後者は現在インドで出版に用いられる。
【参照項目】➡梵語、悉曇
【執筆者:佐藤堅正】