心に思ったり、言葉で表したりできないこと。Ⓢacintyaの漢訳語。原語は「思いはかることができない」の意。「不思議」は略語形。本来は、仏・菩薩の覚りの境地、智慧、功徳などが、凡夫の思慮のおよばないものであることを表す言葉である。日常語としては、単に分からないこと、奇怪なことに関して用いられることが多い。『阿弥陀経』六方段では「汝等衆生、まさにこの称讃不可思議功徳一切諸仏所護念経を信ずべし」(聖典一・三一九~二〇/浄全一・五四〜五)が繰り返される。
【執筆者:佐藤堅正】