二王
提供: 新纂浄土宗大辞典
におう/二王
寺域の守護神として、寺院の入り口の門の左右両側に安置してある一対の金剛力士の像。東大寺南大門や法隆寺中門の二王像などが有名であるが、浄土宗寺院にもみられる。もともとは釈尊の守護神であったが、発展して最終的には寺院の建物の守護神に至ったと考えられる。二王尊、二天王、金剛神、夜叉神ともいうが、一般的には仁王の名で親しまれている。二王は、開口の阿形と閉口の吽形に分かれる。また二像を密迹金剛と那羅延金剛、密迹と金剛などに分けて呼ばれるが、二体はもともと同体で密迹金剛力士にすぎない。像容は、忿怒相で上半身を裸形とし、筋骨隆々で金剛杵を持つことが多い。『大宝積経』密迹金剛力士会(正蔵一一・五二下~三上)によれば、昔、法意王子と法念王子という二王子がおり、法意は金剛力士になり、法念は梵天王になり仏に仕えると誓ったと説かれている。
【資料】『増一阿含経』二二、『大日経』三
【参考】田中義恭・星山晋也『目でみる仏像』(東京美術、二〇〇〇)
【参照項目】➡金剛那羅延身
【執筆者:薊法明】