一巻。天心撰。享保一一年(一七二六)の刊記あり。天台智顗ちぎの戒体論について、古来より論争となった異なる二説を論じる。まず『摩訶止観』などにおける心を戒体とする説と、『菩薩戒義疏』における性無作の仮色を戒体とする説を紹介する。次に両説について古来の諸説を示し、最後に『菩薩戒義疏』に拠って性無作仮色説を正義とする。この説は天台安楽律・浄土律で支持された。浄土律僧・敬首きょうじゅの弟子である天心は、敬首説によって論じている。
【所収】続浄一二、仏全七二
【参照項目】➡性無作の仮色
【執筆者:西村玲】