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鎮勧用心

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ちんかんようじん/鎮勧用心

一巻。証空述。証空一代の教えと念仏者の安心の肝要について、対句を用い格調高く一九〇字程度に簡潔にまとめられた仮名書きの法語。西山派においては『一枚起請文』と同様に経典として拝読される。成立については諸説があるが、宝治元年(一二四七)に道覚親王の請によって述べられたといわれる。その内容は、①行者の睡眠について、②行者の機劣行乏しきについて、③行者の急な励み、あるいは懈倦の時について、④行者の善悪堪否について、それぞれの用心を述べている。また「はげまざるも悦ばし正因円満のゆへに」、「仏の強縁を忘るることなかれ」などと、直接語りさとすような表現がある。のちに漢文体のものができるが、題号は後世に付加されたものと考えられる。この法語を上段(賛)に、下段に証空の尊影を配置した軸物が広く流布している。西山三鈷寺には伝証空真筆本がある。廬山寺には後柏原院宸翰しんかんのものが、禅林寺には伝法興筆の漢文体のものが所蔵されている。『秘鈔』、『述意鈔』、『新鈔』など二〇を超える註釈書がある。


【所収】『西山鈔物集』


【執筆者:伊藤正順】