道を行くとき、お互いに見知らぬ人同士が袖を触れ合ったり、擦り合ったりする程度のことにも、前世からの深い因縁があるということ。人と人との縁の大切さを身振りで表現していた時代から伝えられた、人間関係に温かい愛情を通わせることわざ。「袖擦すり合うも他生の縁」「袖触れ合うも他生の縁」、あるいは「袖の振り合わせも他生の縁」などともいう。別に、「袖振り合うも多生の縁」と書くときは、インド以来の輪廻転生の考え方が深く関わって、「袖振り合うも百生の縁」とか「袖振り合うも五百生の縁」というように生まれ変わりの数が増加する。
【執筆者:勝崎裕彦】