藁わら・茅かやなどで屋根を葺ふいた粗末な家。草葺きの小さな家。くさのいおり。『七箇条制誡』に「此の上猶制法を背く輩は、是れ予が門人に非ず、魔の眷属なり。更に草庵に来るべからず」(昭法全七八九)とあるように、法然の住居は質素な庵であったとみられるが、『四十八巻伝』には、草葺きではなく板葺きの建物が描かれている。また『没後遺誡文』には「羨ねがわくは我が弟子・同法等、各閑おのおのしずかに本在の草庵に住して、苦ねんごろに我が新生の蓮台を祈るべし」(昭法全七八三)とあり、法然の弟子も本来住居する場所は草庵であった。
【執筆者:伊藤真昭】