良忠の『東宗要』四の深心について述べた中に、「抑そもそも世人を見るに、各々偏見に堕して、仏意に協かない難し。悲しい哉、因果を信ずる者は他力の信弱く、本願を信ずる者は因果の理ことわり緩し。庶幾こいねがわくは、専ら本願を信じ、兼ねて因果を信ずべし。即ち仏意に協い、往生を遂ぐ可き者なり」(浄全一一・八八上)とあり、本願他力を信じ念仏するだけで往生の望みは叶うため、造罪であっても往生の障りにはならないという見解に対して、因果を信じ止悪懺悔の心を発すべきであると誡めたものである。
【執筆者:兼岩和広】