被埋葬者が生前に準備する、まだ誰も埋葬されていない墳墓のこと。陵は権力者である天皇や皇帝の墓の意味であり、本来、寿陵とは、権力者が生前から準備して陵を作ることで、中国の皇帝や、朝鮮半島・日本の古墳時代の前方後円墳などの巨大な陵がその起源。一方、仏制の墓は元来、釈尊の骨を納めた仏舎利塔が起源であることから、寿陵はインド仏教に起因する習慣ではない。また近年、霊園や石材業界で生前建墓のことを縁起を担いで寿陵、寿陵墓などというようになった。
【参考】茂木雅博『古墳時代寿陵の研究』(雄山閣出版、一九九四)
【執筆者:大蔵健司】