凡例
提供: 新纂浄土宗大辞典
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目次
新纂浄土宗大辞典 凡例
1 編集方針
◉総論
本辞典は昭和四十九年から五十七年にかけ、浄土宗大辞典刊行会から刊行された『浄土宗大辞典』(以下『旧大辞典』)の新纂版である。編集にあたっては、浄土宗僧侶のみならず広く一般を対象とし、平易かつ的確な解説を心がけ、浄土宗の教えが広く正しく普及するための一助となることを目指した。
辞典の性格上、宗教的・歴史的用語を多く扱うが、解説においては性別・職業・身分・地位・境遇・信条・人種・民族・地域・心身の状態・疾病・身体的特徴等に対して差別の観念を表す言葉は使用せず、また過去の事例については、その歴史的背景を踏まえ、結果として差別助長とならない記述とするよう極力配慮した。
◉項目の選定
浄土宗の思想・歴史・実践に関する事項を中心とし、また広く仏教、他宗教、民俗信仰など、関連する領域にわたる約九七〇〇項目を収めた。
その選定は、『旧大辞典』の項目を基本として、必要と思われるものは新たに立項した。また寺院の項目については、別途、寺院項目選定研究会を設け一定の基準のもとに選定した。
◉項目の配列
❶ 項目は現代仮名遣いの平仮名・片仮名表記を基準として五十音順で配列した。
❷ 仮名が同じときは、次の基準によって配列した。
㋐ 清音・濁音・半濁音の順。
㋑ 促音(っ)や拗音(ゃ、ゅ、ょ)は直音の後。
㋒ 外来語等の長音(ー)は、直前の仮名の母音と同じものとして扱った。
㋓ 同音の場合は片仮名で表記される語、平仮名で表記される語、漢字で表記される語の順とした。同音の漢字の場合は一字目の画数順とし、画数が同じ場合は部首順とした。
㋔ 中黒およびカンマを含む項目名のものは、中黒およびカンマ以下の読みを含めて配列した。なお、対語や類語を中黒でつないだ項目については、適宜仮見出し項目(見よ項目)を立てた。
◉同一項目内の解説の順序
❶ 同一の項目で解説内容が複数の事柄にわたる場合は、大きい区分として 一 二 …、小さい区分として 1 2 …の番号を付して解説を分けた。 ❷ 人名、寺院名など固有名詞で同音同表記のものは同一項目にまとめ、一 二 …の番号を付して解説した。解説の順は、人名は生存年代順、寺院名は『浄土宗寺院名鑑』(平成二十五年版)の掲載順とし、次いで浄土宗以外の寺院を日本から国外へと列記した。
2 項目内の構成
各項目は、❶見出し(項目名)、❷解説本文、❸【所収】、❹【資料】、❺【参考】、❻【図版】、❼参照項目、❽執筆者名を基本的な構成とした。
❶ 見出し(項目名)
㋐ 見出しは太字の仮名で示し、【 】内に表記形を示した。表記形は、法然作の和歌など、一部旧仮名遣いとしたものもある。
外来語等については片仮名見出しとし、[ ]内に原綴を示した。サンスクリット語、パーリ語、チベット語についてはそれぞれ Ⓢ Ⓟ Ⓣ の記号を付し、原則としてローマ字表記によって示した。それ以外の外来語見出しについては言語表示を省略した。
(例一)あなん【阿難】
(例二)あみだぶととこえとなえてまどろまんながきねむりになりもこそすれ【阿みた仏と十こゑとなへてまとろまむなかきねふりになりもこそすれ】
(例三)キリストきょう【キリスト教】
(例四)アートマン[Ⓢātman]
㋑ 【 】内の漢字表記は、常用漢字・人名用漢字については新字体を用いることを原則としたが、一部の人名、書名、寺院名、組織名等については、旧字・異体字を使用した。
(例)龍樹 清凉寺 佛教大学など
㋒ 説明を他の項目に譲る場合には、仮見出し項目(見よ項目)を立て、⇨で参照すべき項目を示した。
(例一)あみだにょらい【阿弥陀如来】⇨阿弥陀仏(あみだぶつ)
(例二)げんくう【源空】⇨法然(ほうねん)
(例三)ほっかい【法界】⇨法界(ほうかい)
㋓ 近世以前の人名は原則として諱で立項した。ただし、法然、聖光など一部の人名は房号で示した。
㋔ 典籍は原則として正式名称で立項し解説を施した。ただし、経典群など総称・通称で立項したものもある。
㋕ 団体・組織名は原則として平成二十七年十二月末日現在の名称で立項して解説を施し、前身団体名は必要に応じて仮見出し項目を立てるか、または簡略な説明のみを記すにとどめた。
❷ 解説本文
㋐ 解説文中の表記は、常用漢字・人名用漢字については原則として新字体を用いた。ただし、人名、書名、寺院名、組織名、市町村名等については、一部、旧字・異体字を使用したものもある。
㋑ 典籍からの引用文については次の通りとした。
*原文が漢文の場合、偈文などを除き書き下し文で、片仮名書きの場合は平仮名書きでの掲載を原則とした。また現代仮名遣いによる表記を原則としたが、一部歴史的仮名遣いによったものもある。
*『浄土宗聖典』所収の典籍については、漢文のものは同書掲載の書き下し文を、和語のものは同じく釈文を用いた。
*引用文は「 」内に記し、引用文中における引用箇所は〈 〉で、また引用文を一部省略した場合には「…」で示した。
(例)「〈分陀利〉と言うは、人中好華と名づけ…人中妙好華と名づく」
*原則として、引用文の直後にそれが収載されている叢書類名および巻数・ページ数・段数を( )で示した。なお、所収が複数の叢書類にわたる場合は代表的なもの一つを示し、必要に応じて他の叢書類名を併記した。
(例)四十八願の中に「我が名字を聞きて」(聖典一・二三〇/浄全一・九)などと説かれ
㋒ 解説本文中に示す一部の仏・菩薩・人名や書名などの表記は、後述の「3 本文中における表記」に従った。
㋓ 仏・菩薩・人名の尊称・敬称については、原則として省略した。
㋔ 地名の表記については次の通りとした。
*近世以前の地名の場合には、直後の( )内に現在の地名を記した。
(例)美作国久米南条稲岡庄(岡山県久米郡久米南町)
*明治以降の地名でその後の市町村合併などにより変更があった場合には、その直後の( )内に「現・○○」と記した。
(例)甲斐国八代郡市部村(現・山梨県笛吹市石和町市部)
㋕ 年号は「元号(西暦)」の形で示し、日本以外の年号の場合は必要に応じて国名(王朝名)を付した。南北朝時代の和暦については、特に南朝に関わるものでなければ北朝に統一した。
(例一)建暦二年(一二一二)
(例二)南宋・紹興七年(一一三七)
❸【所収】
典籍が収載されている叢書、全集等の名称およびその巻を記した。
❹【資料】
㋐ 関連する史料や注釈書などを必要に応じて取り上げた。
㋑ 原則として、著者名、書名、巻、所在・所収の順に記した。
(例)聖光『徹選択集』下(聖典三/浄全七)
❺【参考】
明治以後における、関連する代表的な研究業績、定評のある著作、新説を提示するなど学術的に価値の高い論考等を必要に応じて取り上げた。
〔単行本〕
*編著者名、書名、出版社、出版年の順に記した。
*著者名について、共編著の場合、二名までは両者の名前を記載し、三名以上の場合は代表者一名に「他」を付けて記載した。
(例)望月信亨『浄土教之研究』(日本図書センター、一九七七)
塚本善隆編『法然』(『日本の名著』五、中央公論社、一九八三)
マックス・シェーラー著/小倉貞秀訳『人間における永遠なるもの』上(白水社、二〇〇二)
野村恒道・福田行慈編『法然教団系譜選』(青史出版、二〇〇四)
藤井正雄他編『法然辞典』(東京堂出版、一九九七)
〔論文〕
*著者名、論文名、収載媒体名、収載媒体の発行年の順に記した。
(例)佐藤密雄「十誦律の訂正について」(印仏研究二―二、一九五四)
藤堂恭俊「俊乗坊重源と乗雲の阿弥陀如来三尊立像」(『井川定慶博士喜寿記念 日本文化と浄土教論攷』井川博士喜寿記念会、一九七四)
〔欧文文献〕
*書籍の場合…著者名、書名(イタリック体)、発行所、発行年。
(例)W. F. Sullivan: The Impossibility of Religious Freedom, Princeton U.P., 2005.
*雑誌掲載の論文の場合…著者名、〝標題〟、雑誌名(イタリック体)、巻・号、発行年。
(例)J. R. Dominick,“Business Coverage in Network Newscasts,” Journalism Quarterly 58:2(1981)
❻【図版】
巻末に関連資料や図版などを掲載している場合には、その旨を記した。
❼ 参照項目
必要に応じて末尾に ➡ を付し、関連する他の項目名を示した。複数ある場合は、カンマを用いて並べた。
(例) ➡正行(しょうぎょう)・雑行(ぞうぎょう)、五種正行(ごしゅしょうぎょう)、同類(どうるい)の助業(じょごう)・異類(いるい)の助業(じょごう)
❽ 執筆者名
当該項目の執筆者を末尾に( )で括って示した。
3 本文中における表記
次に挙げる仏・菩薩・人名、書名などについては、解説文中では原則として上段に掲げる表記を用いた。下段に示したのはその具名または異称である。
❶ 仏・菩薩・人名など
〈表記〉 〈具名・異称〉
阿弥陀仏 阿弥陀如来、弥陀、弥陀仏、無量寿仏など
釈尊 釈迦如来、釈迦牟尼、釈迦仏など
廬山慧遠 廬山、慧遠(廬山)など
世親 天親、バァスパンドゥなど
智顗 天台大師、智者大師など
浄影寺慧遠 浄影寺、慧遠(浄影)、浄影など
基 慈恩大師、窺基など
源信 恵心僧都、横川僧都など
法然 源空、黒谷上人、円光大師など
聖光 弁長、弁阿、鎮西上人、大紹正宗国師など
良忠 然阿、記主禅師など
良暁 寂恵、白旗など
証空 善恵、西山上人など
顕意 道教、記主上人など
道光 了恵、了慧、望西楼、蓮華堂など
聖冏 了誉など
聖聡 酉誉など
袋中 良定など
義山 良照など
❷ 書名
〔叢書・全集〕
〈表記〉 〈具名〉
聖典 浄土宗聖典
昭法全 昭和新修法然上人全集(石井教道編)
法伝全 法然上人伝全集(井川定慶編)
浄全 浄土宗全書(山喜房仏書林刊行版)
続浄 浄土宗全書続篇(山喜房仏書林刊行版)
伝灯輯要 浄土伝灯輯要
正蔵 大正新脩大蔵経
国訳 国訳一切経
続蔵 大日本卍続蔵経(国書刊行会刊行の新纂版)
日蔵 日本大蔵経(鈴木学術財団刊行の新版)
仏全 大日本仏教全書(大日本仏教全書刊行会版)
縮蔵 縮刷大蔵経
南伝 南伝大蔵経
西叢 西山叢書
西山鈔物集 西山上人短編鈔物集
西全 西山全書
真宗聖典 浄土真宗聖典(原典版)
真聖全 真宗聖教全書
〔経典〕
〈表記〉 〈具名・異称〉
『無量寿経』 大経、双巻経など
『観経』 観無量寿経など
『阿弥陀経』 小経など
『大阿弥陀経』 阿弥陀三耶三仏薩楼仏檀過度人道経など
『平等覚経』 無量清浄平等覚経
『無量寿荘厳経』 大乗無量寿荘厳経
『無量寿如来会』 大宝積経無量寿如来会
『称讃浄土経』 称讃浄土仏摂受経
『六十華厳』 大方広仏華厳経(東晋・仏駄跋陀羅訳)、旧訳華厳経など
『八十華厳』 大方広仏華厳経(唐・実叉難陀訳)、新訳華厳経など
『四十華厳』 大方広仏華厳経(唐・般若訳)、普賢行願品など
『法華経』 妙法蓮華経
『首楞厳経』 首楞厳三昧経
『楞厳経』 大仏頂如来密因修証了義諸菩薩万行首楞厳経
『北本涅槃経』 曇無讖訳『大般涅槃経』
『南本涅槃経』 慧厳等訳『大般涅槃経』
〔論・疏〕
〈表記〉 〈具名・異称〉
『大智度論』 智論、智度論など
『往生論』 無量寿経優婆提舎願生偈
『起信論』 大乗起信論
『俱舎論』 阿毘達磨俱舎論
『婆沙論』 阿毘達磨大毘婆沙論
『瑜伽論』 瑜伽師地論
『往生論註』 無量寿経優婆提舎願生偈並註、無量寿経論註、浄土論註、論註など
浄影『観経義疏』 観無量寿経義疏、観経義疏
天台『観経疏』 観無量寿仏経疏、観経疏
吉蔵『観経義疏』 観無量寿経義疏
『観経疏』 善導の観経玄義分・観経序分義・観経定善義・観経散善義(以上の総略称として『観経疏』と表記し、必要に応じて『観経疏』玄義分のように記した)
『群疑論』 釈浄土群疑論
『西方要決』 西方要決釈疑通規
『十疑論』 浄土十疑論
『五会法事讃』 浄土五会念仏略法事儀讃
〔伝記類〕
〈表記〉 〈具名・異称〉
『高僧伝』 梁高僧伝
『続高僧伝』 唐高僧伝
『瑞応刪伝』 往生西方浄土瑞応刪伝など
『源流章』 浄土法門源流章
『鎮流祖伝』 浄土本朝高僧伝、浄土鎮流祖伝
『総系譜』 浄土伝灯総系譜
〔法然上人著作・伝記類〕
〈表記〉 〈具名・異称〉
『選択集』 選択本願念仏集
『漢語灯録』 黒谷上人語灯録(漢語)
『和語灯録』 黒谷上人語灯録(和語)
『拾遺漢語灯録』 拾遺黒谷上人語灯録(漢語)
『拾遺和語灯録』 拾遺黒谷上人語灯録(和語)
『醍醐本』 法然上人伝記
『私日記』 源空聖人私日記
『四巻伝』 本朝祖師伝記絵詞
『国華本』 法然上人伝法絵流通
『増上寺本』 法然上人伝
『知恩伝』 源空上人伝
『十六門記』 黒谷源空上人伝
『弘願本』 法然聖人絵
『琳阿本』 法然上人伝絵詞
『古徳伝』 拾遺古徳伝
『九巻伝』 法然上人伝記
『四十八巻伝』 法然上人行状絵(画)図・勅修御伝
『翼賛』 円光大師行状画図翼賛
『翼賛随聞記』 円光大師行状画図翼賛随聞記
『日講私記』 和語灯録日講私記
〔聖光上人・良忠上人等著作関係〕
〈表記〉 〈具名・異称〉
『徹選択集』 徹選択本願念仏集
『授手印』 末代念仏授手印
『西宗要』 浄土宗要集(聖光)
『東宗要』 浄土宗要集(良忠)
『決疑鈔』 選択伝弘決疑鈔
『観経疏略鈔』 観経玄義分略鈔・観経序分義略鈔・観経定善義略鈔・観経散善義略鈔(以上の総略称として『観経疏略鈔』と表記し、必要に応じて『玄義分略鈔』のように記した)
『伝通記』 観経玄義分伝通記・観経序分義伝通記・観経定善義伝通記・観経散善義伝通記(以上の総略称として『伝通記』と表記し、必要に応じて『玄義分記』のように記した)
『領解抄』 領解末代念仏授手印抄
『疑問抄』 決答授手印疑問抄
『投機抄』 往生記投機抄
『伝心抄』 授手印伝心抄
『徹心抄』 領解授手印徹心抄
『銘心抄』 決答疑問銘心抄
『糅鈔』 伝通記糅鈔
『直牒』 決疑鈔直牒
『頌義』 釈浄土二蔵義
〔その他 諸師著作関係〕
〈表記〉 〈具名・異称〉
『自筆鈔』 観経要義釈観門義鈔、観門要義鈔
『他筆抄』 観経他筆御抄
*巻・章などを示す場合は、その数字のみを書名の下に記した。
(例)浄全九 正蔵八三 『選択集』八
〔雑誌類〕
〈表記〉 〈具名〉
正大紀要 大正大学研究紀要(旧大正大学学報を含む)
佛大紀要 佛教大学研究紀要
印仏研究 印度学仏教学研究(通号は用いない)
日仏年報 日本仏教学会年報
*号数などを指示する場合は、その数字のみを雑誌名の下に記した。
(例)佛大紀要五三 印仏研究五―二