『観経』に説かれる、下品下生の人が失念散乱の心のまま口に称える念仏のこと。善導『観経疏』に「善友ぜんぬ苦しんで失念すと知って、転教して口ずから、弥陀の名号を称せしむる」(聖典二・三二〇/浄全二・六九下)とあるように、下品下生の人である五逆十悪の凡夫は、苦痛によって正念を失い、仏名を念ずることができないが、善友の勧める口称念仏によって八〇億劫生死の罪を滅して往生する。
【資料】良忠『伝通記』(浄全二)
【参照項目】➡転教口称
【執筆者:吉水岳彦】