聖人が説いた教え。基本的には仏の教え、つまり経蔵のみを指して言う場合が多い。広義には仏教の聖者が説いた教え、経蔵ばかりでなく律蔵・論蔵も含めた三蔵すべて、さらには高徳諸師の著作なども含めて言う場合もある。法然は『東大寺十問答』の中で「問う、釈迦一代の聖教をみな浄土宗に摂おさめそうろうか、また『三部経』に局かぎりそうろうか。答う、八宗九宗みないずれをも我が宗の中に一代を摂めて聖道浄土の二門とは分つなり」(聖典四・五二八/昭法全六四三)といい、浄土宗の宗旨もまた、釈迦一代の聖教を収めたものであることを述べている。
【執筆者:髙橋寿光】