ⓈpañcārthāḥⓈpañcaviṣayāḥの訳語。五根によって把握される五つの対象、すなわち色・声・香・味・触のこと。『俱舎論』には「五境と言うは、即ち是れ眼等の五根の境界にして、所謂色、声、香、味、所触なり」(正蔵二九・二中)とある。色とは視覚の対象である色彩と形態、声とは聴覚の対象である音声、香は嗅覚の対象である香り、味は味覚の対象である味わい、触は触覚の対象である感触のことである。
【参照項目】➡六根・六境・六識、五蘊
【執筆者:石田一裕】