阿弥陀仏の極楽浄土のこと。『観経』に九種(九品)の浄土往生のあり方が示されているため、この名で呼ばれる。九品とは、あくまでも九種の往生を願う人の機根の差異における分類であり、九種の往生人の機根に合わせた浄土があるわけではない。九品浄土は阿弥陀仏の四十八願の成就によって建立された無漏清浄の境界であり、国土に高下なく、浄土往生を願う人の資質や能力による相違から華開の遅速があるのみである。
【参考】坪井俊映『浄土三部経概説 新訂版』(法蔵館、一九九六)
【参照項目】➡輩品開合、実義無輩品、九品、華開遅速
【執筆者:吉水岳彦】