一巻。著者不明。文保三年(一三一九)崇順書写。金沢文庫蔵。善導『観経疏』玄義分について解釈を施したもので後半を欠く。九品寺義の長西、小坂義の証空、長楽寺義の隆寛、筑紫義の聖光の法然門下四流等の異説を弁じている。また証空が嘉禄の法難を免れた理由、隆寛が相模国に配流されたこと、聖光が筑後国へ配流されたこと等が記されており、法然門下の研究において貴重な資料である。
【参考】塚本善隆「金沢文庫所蔵浄土宗学上の未伝稀覯の鎌倉古鈔本」(浄土学五・六、一九三三)
【執筆者:勝崎裕之】