熱病の一種でマラリアのこと。瘧疾ぎゃくしつ、わらはやみ、えやみなどとも呼ばれる。近代前に日本で流行したものは、急に悪化することはなかったが、高熱と悪寒が続き体力を消耗して死に至ることも多かった。法然は元久二年(一二〇五)八月に、この瘧病を患ったことが知られる。それを心配した九条兼実は医術を尽くさせたが、快癒しなかったために、詫摩たくまの法印証賀に善導の真影を図絵させて、聖覚に祈らせたところ、その病はすっかり治ってしまったという(『四十八巻伝』一七、聖典六・二〇一)。
【資料】『四十八巻伝』一七
【執筆者:東海林良昌】