閻浮檀金
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:20時点における192.168.11.48 (トーク)による版
2018年3月30日 (金) 06:20時点における192.168.11.48 (トーク)による版
えんぶだんごん/閻浮檀金
閻浮提の北方にあるジャンブ樹の林間を流れるジャンブーナダー河(ⓈJambū-nadī)に産する砂金。ⓈJāmbū-nada-suvarṇaⓅJambūnadaⓅJambunadaⓉdzam bu’i chu bo’i gser。「えんぶだごん」とも。『大智度論』三五に「閻浮提の如しとは閻浮は樹の名にしてその林、繁茂し、この樹は林中において最も大なり。提は名づけて洲となす。この洲の上にこの樹林あり。林中に河あり。底に金の沙あり。名づけて閻浮檀金となす」(正蔵二五・三二〇上)とある。ヒンドゥー教では、閻浮樹の果液を吸収した砂が微風に吹かれて乾燥して砂金になると説明する。『観経』では「無量寿仏の身は、百千万億の夜摩天の閻浮檀金の色のごとし」(聖典一・三〇〇/浄全一・四三)として阿弥陀仏の身体の色をこの黄金に譬える。その他、極楽の宝樹の華、観音・勢至の放つ光、阿弥陀仏の坐像、観音菩薩の顔色が同様に譬えられる。なお長野善光寺の阿弥陀如来像は、釈尊在世のとき「竜宮第一の重宝」である閻浮檀金三七〇〇両をもって造られたとされる。
【資料】観徹『無量寿経合讃』(『浄土宗選集』四、同朋舎出版、一九八五)、『善光寺縁起』一(仏全八六・三一二)
【参照項目】➡閻浮提
【執筆者:本庄良文】