一巻。性澂霊れい潭󠄂たん撰。浄土律開祖の一人として知られる霊潭󠄂が円頓戒について述べた著作。内容は、大きく①経典に説かれる戒、②円頓戒の要点、③浄土宗の戒脈、④問答の四段に分けることができ、最後に浄土宗における伝戒の意義を「戒は是れ仏法の大地」との法然の言葉に求めて主張している。当時の戒律軽視の風潮を歎き、律僧として多くの道俗に教化した霊潭󠄂が、浄土律の立場から宗の戒脈をあくまで尊重しその弘通を望んでいたことが窺える。
【所収】続浄一二、仏全七二
【執筆者:渋谷康悦】