執持物の一つ。勧誡・法話のときに、勧誡師・布教師が手に持って威儀を整える法具。物事が自分の意のままになるという意味。名称の由来としては、①爪杖つまづえ(孫の手)よりきたもので、背の手の届かないところを意の如くに搔けるから、②柄の部分に偈文や釈文を記しておけば、たとえ忘れても読むときに意の如く引用できるから、③その形が篆書てんしょの心(意)の如くであるから、といった説がある。執持法は、広骨扇と同様に右手で柄を握り、胸の前で斜めにし左手を添える。問訊するときと置き方は中啓に準ずる。
【執筆者:中村瑞貴】