インド亜大陸を中心とした地域の中国での伝統的呼称。一説にはインダス河を意味するⓈSindhuが由来であるというが諸説ある。『康熙字典』毒項下に班師古の説として「今この天竺、蓋し身毒しんどくの声。転じて天篤と為る。篤の省文、竺に作る。また転じて竹の音と為る」と出る。身毒は「けんどく」とも読まれた。東南西北中の五方に分けて五天という。また名前に竺を冠する渡来僧は天竺出身を表す。玄奘は天竺という呼称は誤りで正しくは印度と呼ぶべきであるという(『大唐西域記』二、正蔵五一・八七五中)。
【執筆者:小澤憲雄】