一巻。『浄土徹髄抄』ともいう。聖聡撰。浄土宗の教義の奥旨を簡潔にまとめたもの。著作の契機や成立年代は不詳。本書の特徴は、顕密の教説を引きながらも浄土宗の教理の優越性を述べたところにある。本書の中には「秘すべし秘すべし」(浄全一三・七二一上)、「他見すべからず」(同)などとあるように、広く外に向けられた書ではなく教団内部で用いられたことが推測される。
【所収】浄全一三
【参考】丸山博正「『浄土徹髄抄』について」(『聖聡上人典籍研究』山喜房仏書林、一九八九)
【執筆者:東海林良昌】