たっしん/噠嚫
布施すること。施物。Ⓢdakṣiṇāの音写で、達嚫、大嚫などとも記される。僧に財物を施与すること(財施)、僧が施物に報いて法を説くこと(法施)の二つの意をもつ。転じて僧に対する法礼の表書きに「噠嚫」と書くこともある。『四分律』四九に「仏言く、まさに食し已りて黙然として去るべからず。まさに檀越の為に達嚫を説くべし」(正蔵二二・九三五下)とあり、施物を受けた後に、信者のために説法する噠嚫説法を噠嚫と略していう場合もある。また、『四十八巻伝』三九には「随分の噠嚫を捧げて廟堂に詣し、慇懃の懺悔を凝らして宝前に跪く」(聖典六・六〇八)とある。
【参照項目】➡布施
【執筆者:中村瑞貴】