しんだほうくかい/瞋打報仇戒
『梵網経』に説かれる四十八軽戒のうち第二一戒のこと。暴力や悪口を浴びせて報いることを制する。瞋をもって瞋に、暴力をもって暴力に報いてはならず、肉親が殺されても国王が殺されても仕返しをするのは孝道に反するという。奴婢を蓄えて打ち叩いたり罵ったりしてはならず、日ごろ口業による罪を無量に犯しているのであるから、ことさらに七逆を犯さぬようにせよとし、慈しむことなく報復すれば軽垢罪に当たるとしてこれを制する。
【参考】石田瑞麿『仏典講座一四 梵網経』(大蔵出版、一九七一)
【参照項目】➡四十八軽戒、軽垢罪、七逆
【執筆者:袖山榮輝】