多くの民。「れいしょ」ともいう。『無量寿経』上に「不請の法をもって、諸もろの黎庶に施す」(聖典一・二一七/浄全一・三)とあり、吉蔵は『無量寿経義疏』でこれを釈して「黎の言は民なり、庶の言は衆なり」(浄全五・六三下/正蔵三七・一二〇上)とする。これに従えば黎庶は民衆の意味となる。またⓈsattvaの訳語としても用いられ、衆生(有情)と同じ意味ともなる。
【執筆者:石田一裕】