「浄土教版」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:25時点における最新版
じょうどきょうはん/浄土教版
鎌倉時代以降、主に京都知恩院を本拠として開版された浄土教典籍の総称。藤堂祐範『浄土教版の研究』によって提唱されたもので、それ以前に書誌学において用いられていた、春日版、高野山版等に並び、浄土教版と呼ばれるべき一群があることが明らかにされた。春日版、高野山版などの呼称に対して広範ではあるが、これにより中国地方や関東地方で開版されたものも含めている。特徴としては、書体は書写体、巻子本や一枚刷りのものもあるが、冊子本はおおむね両面刷りの粘葉綴で、文字は漆墨といったことがあげられる。現存最古のものは建仁四年(一二〇四)版『無量寿経』。延応元年(一二三九)版の『選択集』は知恩院に版木が保存され、書誌学上の重要資料となっている。また、元亨元年(一三二一)版『和語灯録』は、日本における平仮名交り文印刷の最古の部類に属し、やはり書誌学上重要視されている。
【参考】藤堂祐範『浄土教版の研究』(山喜房仏書林、一九七六)
【執筆者:市川定敬】