「梵語」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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ぼんご/梵語
古代インドの文語で、特にサンスクリット語のこと。サンスクリット語はⓈsaṃskṛtaに由来する語で、洗練された言語を意味し、雅語とも称される。また梵天が作った言語と信じられていたことから梵語という。古代インドの文語はまずヴェーダ語と古典サンスクリット語に大別される。ヴェーダ語はヴェーダの聖典に用いられ、古典サンスクリット語はインドの文法家パニーニとその学派によって精密に文法規則が定められた。仏典にも、この古典サンスクリット語が用いられるが、その一方で仏典特有の語法で記された文献も多数存在する。仏典に特有の梵語は仏教混淆梵語(Buddhist Hybrid Sanskrit)とよばれ、『無量寿経』の偈はこれによって記されている。また近年ではガンダーラ語で記された仏典の研究も進み、この語が漢訳の音写語に与えた影響の大きさが判明している。サンスクリット語の俗語(あるいは方言)は、プラークリットと呼ばれ、ここには上記の仏教混淆梵語やガンダーラ語、さらにパーリ語などが含まれる。パーリ語聖典は東南アジアの仏教国において現在も使用され、サンスクリット語と極めて類似した性質をもつ言語である。
【参考】菅沼晃博士古希記念論文集刊行会『インド哲学仏教学への誘い』(大東出版社、二〇〇五)
【執筆者:石田一裕】