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てんぎょう／転経

一

一つの経典全体を読誦すること。広義では転読または真読ともいわれる。転読と真読の差異は、『翼賛』一三（浄全一六・二二〇下）によれば、文句を丁寧に読むことを真読あるいは信読といい、転とは転法輪の転に同じく、ただ読むことを転といい、略読をいうのではないとされる。また『高僧伝』一三（正蔵五〇・四一五中）によれば、中国では梵唄などの声明に対して、経を詠ずることを転読と呼ぶとされる。

【執筆者：石上壽應】

二

経典の一部を読誦すること。狭義での転読をいう。この「転」は翻す、移すの意。『大般若経』などの大部経典を読誦する際、巻毎の経題や初・中・後の数行を読み、あとは経巻を扇のように翻転して真読に擬すること。この儀式を転経会てんぎんえ、あるいは転読会という。また大蔵経を転読、あるいは経蔵の輪蔵を回転させることを転蔵という。善導『法事讃』は、具名を「転経行道願往生浄土法事讃」（上巻、浄全四・一上）、「安楽行道転経願生浄土法事讃」（下巻、同・三二）といい、転経行道の実践行儀を明かしている。

【参照項目】➡法事讃行法

【執筆者：石上壽應】