「疏」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:27時点における最新版
しょ/疏
経典や論書などの注釈書のこと。特に中国・日本で作られた注釈書を指していう。経についての注釈書であれば経疏、律についてであれば律疏、論についてであれば論疏という。疏は、注をさらに詳しくしたものであり、注釈の対象となるところの書物に対して、一々にその本文を掲げ、その文について解説を加える。時にその分量は本文の何倍にも上ることもある。また疏と同じような注釈として「記」も存在し、「疏」と同様に、ある文献に対して詳細な注釈を施す。前述のように、これら疏や記は主に中国・日本で作成されたものであるが、中国で作成された疏をさらに日本において注釈するといった場合もある。浄土宗において最も重視される疏は『観経』の注釈である善導『観経疏』であるが、これには良忠の注釈『伝通記』、さらに『伝通記』には聖冏の注釈『糅鈔』が存在する。以上は一例であるが、テキストに注釈を施すという営みは仏教の伝統であり、それは注釈という作業を通して自己の思想を表現することでもある。
【執筆者:石田一裕】