「今昔物語集」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:23時点における最新版
こんじゃくものがたりしゅう/今昔物語集
全三一巻(八、一八、二一巻を欠く)。編者は未詳。天竺(インド)部五巻、震旦(中国)部五巻、本朝部二一巻に分類、一千余話を集録する説話集。多くの説話が「今は昔」という書き出しで始まり、「となむ語り伝えたるとや」で結ばれていることから今昔物語集と呼ばれる。文章は漢字と片仮名による和漢混淆文で書かれている。およそ三分の二が仏教説話で、残りが世俗説話である。一二世紀後半の保元の乱、平治の乱に関する記載がないことから一二世紀前半の成立と考えられる。したがって浄土宗成立前後の具体的な動静を伝える記事はないが、平安中期までの阿弥陀信仰によって極楽浄土へ生まれることを願う往生説話など、貴族や武士ばかりではなく庶民にいたるまでの浄土信仰の資料を提供してくれる。
【所収】『新日本古典文学大系』三三~三七(岩波書店)
【執筆者:魚尾孝久】