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「仮有・実有」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:23時点における最新版

けう・じつう/仮有・実有

仮有は仮の存在、実有は実体としての存在のこと。仮有はⓈprajñapti-satなど、実有はⓈdravyaあるいはⓈdravyato ’stiなどの訳語である。仮有は仮に名づけられた存在、あるいは名称のみの存在といった意味である。またある存在が、それを構成する要素に分けることができるならば、それは仮有である。例えば、森は木の集まりと考えることができ、木なくして森は存在しないから、木の集まりを仮に森と名付けているにすぎない。ここでいう森のような存在を仮有、森を構成する要素である木を実有と考えることができる。ただし、木もまた枝や葉といった構成要素に分けて考えることができるから、真の意味での実有ではない。さまざまな存在を分析し、それ以上分類することができなくなったものこそ実有なるものであり、そのようなものごとの構成要素を法(Ⓢdharma)という。アビダルマではこの法を実有と考え、法が結びついて存在する現象を仮有と考える。大乗仏教ではおおよそアビダルマでの法を実有と認めず、あらゆるものごとは空、すなわち名称のみの存在であり、実体を欠くとする。


【参照項目】➡三世実有・法体恒有


【執筆者:石田一裕】