「三世実有・法体恒有」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:24時点における最新版
さんぜじつう・ほったいごうう/三世実有・法体恒有
存在の構成要素である法(Ⓢdharma)が、過去・現在・未来の三世にわたって実体として存在し、しかもその法の実体は変化することがないという学説。これは説一切有部が諸行無常の説明を試みるために作りだしたとされ、この学説は説一切有部の名称の由来となっている。『俱舎論』二〇には「三世は皆定んで実有なりと説くを以ての故に、是れを説一切有宗と許す」(正蔵二九・一〇四中)と説かれていて、説一切有部とは三世実有を説く人々であることがわかる。有部の説く三世実有・法体恒有とは、作用をなした法を過去の法、作用をなしている法を現在の法、これから作用をなすであろう法を未来の法とし、作用の如何において法の三世を分類し、それら三世の法の実体は恒に変化せずに存在することを主張するものである。この思想は『俱舎論』において「現在有体・過未無体」(現在の法のみに実体を認める)を説く経量部に厳しく批判されている。
【資料】『俱舎論』二〇
【参考】櫻部建・上山春平『存在の分析 アビダルマ』(角川書店、一九九六)
【執筆者:石田一裕】