「法爾道理」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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ほうにどうり/法爾道理
物事の動かしようのないあるがままのすがたという道理。Ⓢdharmatā-yuktiⓉchos nyid kyi rigs pa。法爾は法性、法然の異訳。『瑜伽論』(正蔵三〇・四一九中)に、地が堅く、水が湿潤であり、火が熱く、諸行が無常であること、涅槃が寂静であることなどはみな存在のあるがままのすがた(法爾)であり、それがすなわち道理であるとする。法然は「炎は空に上り、水は下りさまに流る。菓子の中に、酸き物有り、甘き物有り。これらは皆、法爾の道理なり。…一向に念仏だにも申せば、仏の来迎は法爾の道理にて疑いなし」(『四十八巻伝』二一、聖典六・二七九/浄全一六・三三〇下~一上)とする。法爾としての火や水の性質は、慈円が『愚管抄』五で、歴史の必然性を説明するのに使用している。また、法然は出家すべくして出家した「法然道理のひじり」との評価を師の叡空より受けて「法然房」の名を得たとされている(『四十八巻伝』三、聖典六・四八三/浄全一六・一二八下)。
【参考】声聞地研究会『瑜伽論声聞地 第一瑜伽処—サンスクリット語テキストと和訳—』(山喜房仏書林、一九九八)、本庄良文他「『法然上人のお言葉—元祖大師御法語—』解釈上の諸問題」(知恩院浄土宗学研究所『八百年遠忌記念法然上人研究論文集』、二〇一一)
【参照項目】➡法爾法然
【執筆者:本庄良文】