葬頭河そうずか(三途の川)のほとりにいて、川を渡ってくる亡者の着物を奪い取り、衣領樹の上にいる懸衣翁に渡すという鬼婆。脱衣婆(鬼)、葬頭河婆ともいう。懸衣翁がその衣を衣領樹に掛け、枝のしなり具合で罪の軽重をはかると、中国成立の偽経といわれる『地蔵菩薩発心因縁十王経』に記されている(続蔵一)。日本においては民間信仰と結びつき、道端に道祖神の一つである姥神うばがみとして祀られることもある。
【参照項目】➡三途の川
【執筆者:吉澤秀知】