「上知令」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:17時点における最新版
あげちれい/上知令
明治四年(一八七一)一月五日に太政官布告として達せられた、寺社領地の没収令。各藩が版籍奉還を実施したのに対し、寺社だけが私有地を保有しているのは「不相当」であるとして、寺社境内以外の土地を上知すると命じた。これにあわせて同五年には、寺社に対して現石高の二割五分を禄米として支給することとしたが、同八年には境内地を祭典や法会に必要な範囲に限定して他はすべて上知、禄米も同一七年に廃止された。すでに慶応元年(一八六五)には鹿児島藩が寺院領を没収しており、廃仏毀釈においても寺院領の没収がみられていたが、この上知令の結果、天台宗、真言宗、臨済宗、浄土宗は特に大きな痛手を受けた。一方浄土真宗や日蓮宗、曹洞宗への影響力は小さかったといわれている。
【参考】柏原祐泉『日本仏教史 近代』(吉川弘文館、一九九〇)、文化庁編『明治維新宗教制度百年史』(原書房、一九八三)
【執筆者:小川原正道】