「無量寿経論釈」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:34時点における最新版
むりょうじゅきょうろんしゃく/無量寿経論釈
五巻(現存せず)。元興寺智光著。本書は鎌倉時代以降散逸したと考えられるが、恵谷隆戒などの手によって、『安養集』や『安養抄』に引用されている箇所の収集作業をもとに復元が試みられ、第一、二巻は半分程度、三巻はほぼ完全に近い形までに復元された。その内容は、第一巻は、曇鸞『往生論註』の上巻を注釈し、第二から五巻までは、同じく下巻を注釈したものと考えられる。本書の特徴は、曇鸞が『往生論註』内で、四十八願の一々についての釈明を施さなかったのに対し、その一々に詳細な注釈を施している点である。これは新羅浄土教の特色であり、このことから、智光が新羅浄土教家の影響を強く受けて述作したことがうかがえる。また、この四十八願の願名も、智光の独自の呼称であり、平安中期以降になって、良源『極楽浄土九品往生義』や静照『四十八願釈』等々において四十八願研究がさらに盛んとなってくる、その先駆的役割を果たしたといえる。
【資料】恵谷隆戒『無量寿論釈』一~五(佛大紀要三四、一九五八)
【参考】恵谷隆戒『浄土教の新研究』(山喜房仏書林、一九七六)
【執筆者:和田典善】