「送山門起請文」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:28時点における最新版
そうさんもんきしょうもん/送山門起請文
専修念仏に対する圧力が強まった際、法然が天台座主真性にあてた起請文。元久元年(一二〇四)一一月七日から九日にかけ署名を蒐集した『七箇条制誡』が門下に対する誡めであるのに対し、同七日(三日、一三日説あり)に著された本起請文は対外的な弁明書としての性格を持つ。恵空本『漢語灯録』一〇所収。『四巻伝』『十巻伝』(漢文)、『琳阿本』『古徳伝』『四十八巻伝』(和文)に引用される。執筆僧は聖覚法印。選者名に「叡山黒谷沙門源空」とあることや内専修外天台の説が提唱されたことにより、真偽問題も含めて数多くの論考が著された。しかし、法然のなかの浄土・天台の二面性を主張するには、撰述意図が、自身の信仰や教義の吐露ではなく、「弾圧回避」の一点にあるという文献的性格を鑑みても慎重な資料整理が必要である。初期専修念仏者への弾圧の動向を知る貴重な資料である。
【所収】昭法全
【資料】浄土宗総合研究所編『黒谷上人語灯録写本集成』一(思文閣出版、二〇一一)
【参考】福井康順「法然伝についての二三の問題」(印仏研究五—二、一九五七)、安達俊英「『送山門起請文』(一)」「同(二)」(『宗報』平成二〇年一〇月号、一一月号)、中野正明『増補改訂 法然遺文の基礎的研究』(法蔵館、二〇一〇)
【執筆者:南宏信】