「善導和尚類聚伝」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:28時点における最新版
ぜんどうかしょうるいじゅうでん/善導和尚類聚伝
一巻。住心房覚瑜(愉)撰。本書は散逸して伝わらないが、善導の諸伝記を収集し、それに註釈を附した書であると推測される。『長西録』などの経典目録には、覚瑜と幸西が類似した書名の〈類聚伝〉を著したことが記録されており、かつては二種の〈類聚伝〉が存在していたことが分かる。現在は、現存する〈類聚伝〉(『唐朝京師善導和尚類聚伝』)の著者は幸西という説が有力である。それは信瑞『広疑瑞決集』および聖冏『糅鈔』(浄全三・八〇六下~七上)において、覚瑜の〈類聚伝〉には論評的な内容や釈義が加味されていたことを示唆する記述があるが、現存する〈類聚伝〉には、そのような表現は見受けられないからである。そのため本来は二つの〈類聚伝〉が存在していたが、覚瑜のものは失われ、幸西撰とされるもののみが流布したと考えられる。
【参考】伊藤祐晃編『広疑瑞決集・利剣名号折伏鈔合巻』(三師講説発刊所、一九一四)、小笠原宣秀「唐朝京師善導和尚類聚伝に就いて」(『龍谷学報』三一〇、一九三四)、松野純孝「宋代浄土教と一念義(上)」(『金沢文庫研究』七・一、一九六一)
【参照項目】➡唐朝京師善導和尚類聚伝
【執筆者:伊藤瑛梨】