「説教帷中策」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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せっきょういちゅうさく/説教帷中策
岸上恢嶺講説。九編。第一編は明治一二年(一八七九)四月刊行。説教集。明治期浄土宗において一代傑作と謳われた。著者は明治期を代表する宗学者・布教家である。本書は四〇席の説教と一席の仏教講談、そして二席の仏教演説から成る。説教には讃題を配すのが通例で、豊富な譬喩・因縁を用いてこれを説き、念仏相続をもって結勧するなど、その構成は非常に明確である。同一八年四月には上下二巻本として刊行され、同二六年には八巻泰岳が標註を加えた『標註説教帷中策』一巻が刊行された。翌二七年、河口智導・川合梁定・金田戒定らは本書を賛嘆模倣し、『説教帷中策続編』(第一・二輯)を著している。
【所収】『浄土宗教学大系』一一(大東出版社、一九三一)、『明治仏教思想資料集成』六(同朋舎、一九八二)
【参考】田村円澄「近世庶民の浄土教—『説教帷中策』を主題として—」(『日本仏教思想史研究 浄土教篇』平楽寺書店、一九五九)、藤堂恭俊「岸上恢嶺の著作刊行とその時代背景」(『浄土宗学研究』四、一九六九)
【執筆者:宮入良光】