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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0047A01: の上に居て名香を手にぬり。御經を取奉ていと高か
Z15_0047A02: らず。卑からずよき程に心得て讀奉るべし。又讀は
Z15_0047A03: てて高座より下ん時。又初の樣に禮拜すべし。さて淨
Z15_0047A04: 衣を脫。常の垢衣を著して。常の有樣になるべき也
Z15_0047A05: とぞ申したる。又此經の功德を申さば。一偈一句を聞
Z15_0047A06: より。或は五十展轉の末にて聞すら。其功德無量なり
Z15_0047A07: と隨喜品に說が如し。況や自一部八卷讀奉つる人を
Z15_0047A08: 耶。されば現世安穩後生善處と說。閻浮提人病之良藥
Z15_0047A09: 乃至病卽消滅不老不死と云り。大峰に山臥の迷たり
Z15_0047A10: けるに。經の聲の聞ゆるに付て行て見れば。岩の洞の
Z15_0047A11: 中に僧の年三十計と見ゆるが有けるを見て。是は如
Z15_0047A12: 何と尋ければ。昔し峰に入て侍へりしが。留て此八十
Z15_0047A13: 餘年が間かくてあるとぞ答へける。其時山伏あさま
Z15_0047A14: しく思ていかが事の外に若き御齡にてをはするぞと
Z15_0047A15: 問ければ。不老不死の文を誦して居たりけると答へ
Z15_0047A16: り。實に現世後生只此經にまします者也。其に取て
Z15_0047A17: 此經を讀に如何にも實の心にして能く讀奉るべし。
Z15_0047B01: 神力品に曰。
Z15_0047B02: 於我滅度後。應受持此經。是人於佛道。决定無有疑
Z15_0047B03: 文の意は我滅度の後。此經を受持せん人は。佛道に於
Z15_0047B04: て定て疑ひある事なしと也。相搆へて信を致して讀
Z15_0047B05: 奉なり。さても法華經と申すは一切衆生の心性眞
Z15_0047B06: 如實相の理。此を妙法と申す也。此故にかかる生死不
Z15_0047B07: 淨の所なれ共。能修行する人は彼妙法の種を具した
Z15_0047B08: るが故に。菩提を顯し得る事。譬へば彼蓮華の種子有
Z15_0047B09: に依て。泥の中より出て。花さき實なるが如くに侍
Z15_0047B10: へるとて妙法蓮華とは申なり。されば此經は我身の
Z15_0047B11: 中に皆備はり給へる萬德圓滿の。無量劫にも顯れ不
Z15_0047B12: 給つるに。三因佛性の今旣に新に顯れ給へるなり。
Z15_0047B13: 又是に過て一定佛に成安き事や侍べらん。深く尋給
Z15_0047B14: ふべし。其事常にも人の申さぬ事也。略して申さば。
Z15_0047B15: 此經を讀奉る時心を一にして觀ずべし。我經を讀奉
Z15_0047B16: る舌の上に八葉の蓮華あり。其上に金色の佛います。
Z15_0047B17: 其佛の口より六萬九千餘の文字一一に金色の佛にて

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