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Z0400 空花和歌集 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0343A01: 此歌。霞によせて無礙光の心をあそばせり。○さへ
Z08_0343A02: られぬひかりとは。彌陀の光明をいふ。かの佛に十
Z08_0343A03: 二光の嘉名まします事。無量壽經に見えたり。其光
Z08_0343A04: あまねく。十方世界を照して。人法よくさふるもの
Z08_0343A05: なし。故に無礙光と名づく。○をしなへてとは。八
Z08_0343A06: 雲御抄に。(イツレ)とわかぬ也と有り。萬葉。日本紀に押竝
Z08_0343A07: と書たり。されば月をさへ。花をへだつる露にも。
Z08_0343A08: かの無礙光のみはさへられぬものを。へだてがほ
Z08_0343A09: にもたつ霞かなと。かすめる空に打むかひて。人に
Z08_0343A10: いふやうによめる歌也。霞にへだつとよめる。常の
Z08_0343A11: 事也。かほといふ詞も。古歌にあまたあり。その事
Z08_0343A12: 井蛙抄に見ゆ。十二光の歌の中に。無礙光のこ〻ろ
Z08_0343A13: を。
Z08_0343A14: 散木集 後賴朝臣
Z08_0343A15: へたてなき彌陀のひかりにつみ人の
Z08_0343A16: こ〻ろそ今のさはりなりける
Z08_0343A17: 璟興。無量壽經疏云。人法無能障者。故無礙
Z08_0343A18: 云云。○源氏物語浮舟卷云。霞へだて〻。さむきす
Z08_0343A19: さきにと云云。○家隆卿歌に。よしさらは思ふ中に
Z08_0343A20: も春の夜の。霞へたてぬ月はなかめし。○慈鎭和
Z08_0343B01: 尙。花ゆへにいとふ物まてなかむ哉。へたつる霞
Z08_0343B02: ちらす山風。○頓阿云。なにかほといふ詞は。西行
Z08_0343B03: 御裳濯川歌合に。たちうつる春をしれともみせ
Z08_0343B04: かほに。年をへたつる霞なりけり。判云。左歌姿
Z08_0343B05: 心あひかなひてみゆ。但みせかほといふ詞は。我
Z08_0343B06: 人よむ事也。さはありながら。猶歌合ごときには。
Z08_0343B07: いふべきにやあらん。かつは。歌のさまによるべ
Z08_0343B08: し。○順德院御百首。花鳥の外にも春はありかほ
Z08_0343B09: に。かすみてか〻る山のはの月。○無量壽如來修
Z08_0343B10: 觀行供養儀軌云。無量壽如來。不悲願。以
Z08_0343B11: 量光明。照-觸シ玉ヒ行者。業障重罪。悉皆消滅云云。
Z08_0343B12: ○夏
Z08_0343B13: 我はた〻ほとけにいつかあふひくさ
Z08_0343B14: こ〻ろのつまにかけぬ日そなき
Z08_0343B15: 此歌。新後拾遺集十八に入りたり。釋敎の歌とてよ
Z08_0343B16: みける源空上人とありて。結句かけぬ間ぞなきと
Z08_0343B17: あり。是のみならず。上人の歌。代々の勅撰にあまた
Z08_0343B18: 載せられたり。あれも姿心あひかなひてめでたき
Z08_0343B19: 物なるべし。此五文字ふかくねがふ心なり。五句に
Z08_0343B20: わたりてよくかなへり。但といふに餘事を思はざ

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