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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0109A01: をろかならんものはあざけりなん。法門のことはり
Z08_0109A02: を。わきまへざる(不辨)がゆへに。(三八)かしこから
Z08_0109A03: ん人は。かろしむべからず。智者のことばをつたへた
Z08_0109A04: るがゆへに。(三九)よく〱き〻と▲め給へ。ゆめゆ
Z08_0109A05: め(謹々)いるがせにな(勿)し(爲)たまはせそ。(四〇)
Z08_0109A06: かやうに申すは。をこ(嗚呼)なる(クワウ)(ゲン)なりや。(四一)
Z08_0109A07: されども。法門にあやまりあ(有)りな(無)しは。法
Z08_0109A08: 然上人の。あそばしをかれたる物ども。世にかくれな
Z08_0109A09: く侍り。又さきに申つるひじりたち(聖等)のことば
Z08_0109A10: を。き〻と▲めたる人も。こ〻かしこ(彼此)におほくの
Z08_0109A11: こりたれば。かれをひらき。これをとぶらはんにしら
Z08_0109A12: れぬべし。(四二)としより(老)のくりごと(諄々)し侍
Z08_0109A13: るほどに。(四三)夜もはやあけがたになりぬらん。()
Z08_0109A14: もひえ。源語むねもわびしければ。さのみは申しつく
Z08_0109A15: しがたし。この一夜の結緣をもて。かの九品の()(グウ)をま
Z08_0109A16: たんと。いひすて〻た〻れぬ。(四四)この修行者。さ
Z08_0109A17: ぞあやなくおもふらん。心の中にのこる事おほかる
Z08_0109A18: べし。(四五)なをもした(慕)ひていはんとにや。やが
Z08_0109A19: てつ▲きていでぬ。(四六)そのありさまゆかしくて。
Z08_0109A20: 愚僧も又たちいで〻みれば。あけがたのきりふかく
Z08_0109B01: して。ゆくゑむなしく見うしなひぬ。(四七)ねんなし
Z08_0109B02: (無念)とあき(惘)れゐたるほどに。夜もあけ。きり
Z08_0109B03: もはれにしかば。佛にいとま申てまかで(退出)侍
Z08_0109B04: りにき。(四八)抑安心(ビ〓ク)(ヲツ)しぬれば。萬行いたづらに
Z08_0109B05: ほどこす。(四九)邪師邪敎。をそれずばあるべからず。
Z08_0109B06: )(五〇)これによりて。としごろ。いかがして法
Z08_0109B07: 然上人の正義をうけて。凡夫往生の徑路(ちかみち)を。あ
Z08_0109B08: きらめましと思侍りしに。(五一)むなしくすぎ(空過)
Z08_0109B09: し月日のかげ(陰)かたふきぬる身のよはひ。無常の
Z08_0109B10: (レツ)(シヤ)。(かりひと)しきり(累)にかり(獵)もてゆく。屠所の
Z08_0109B11: ひつじ。心ならずあゆみをいそぐ。たちかへるべきみち
Z08_0109B12: ならねば。ゆくさきのみ。ちかづくらん。(五二)一息か
Z08_0109B13: へらざれば。これを後世に屬す。一念蹉跎(つまつく)せば。
Z08_0109B14: すなはち輪廻(めぐりめぐる)に墮(をつる)せん。(五三)いたづ
Z08_0109B15: らにつちとなり。煙とならんずる身をのみおもひて。か
Z08_0109B16: なしく。こほり(氷)にむせ(咽)び。ほのを(炎)にむ
Z08_0109B17: せばんずる。たましゐをかへり見ざるは。後のくゐ。
Z08_0109B18: (悔)さきにた〻ぬなげきも。いまの事ぞかし。(五四)
Z08_0109B19: 後の世の。さりともと。おぼゆるたのみもなければ。命
Z08_0109B20: のをはりも。す▲ろにおそろしかりしほどに。(五五)

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